「面白くねぇ!」
「あぁ?」
「オレが、この手の話を振るといつも怒って銃をぶっぱなすくせに、
 八戒相手だと可憐に頬を染めるってのは、どういうことだよ三蔵!!」
「もしかして・・・八戒の事が好きなのか!?」
「ばっ、・・・おま・・なにを・・」

びっくりして、しどろもどろになる三蔵

「なんと、棚から牡丹餅な展開!」
「そうなんですか~?いや~知りませんでした」
「ち・・・違う、話をきけ」
「弱りましたね~三蔵は、男の子だしボクも男の子・・・」
「付き合うとなるとあらゆる垣根を越えなくちゃなりません、覚悟が必要ですね」
「覚悟なんか、するんじゃね~よ」
「でも、そっか~知らなかったな~!!」
「あっ、ところでこのカップリングだと、どちらがタチでどっちがネコなんでしょうか?」

と、困った顔を作っちゃいるが、ニヤニヤが止まらない策士八戒。

「ネコっていうな!」
「だめだ!認めねーぞ!!お前みたいに黒い奴・・・三蔵が壊れちまう!!」

頭をぶんぶん振って、必死に反対する悟浄

「壊れるって、おいカッパ!お前今何を想像した!!」
「なぁ、そうだろ悟空」
「悟空に、賛同もとめるな!ややっこしい事になる・・」
「マジだめ!ぜぇってぇだめ!」
「三蔵は、昔からオレんのだって、決まってんの!」
「ほら、やっぱり!」
「昔からって、いっからだよ?」
「500年よりずっと前!もう前世からオレのだ、手だすなぁぁぁぁぁっ!!!」
「・・・あぁっ、ここにも新たなバカ発見、しかもサル!」
「ぬわんだと~っ!!」
「あぁ?」
「・・やんのか?ちびざる」
「サルっていうな~っ!!」
「だれか、助けてくれ・・・神とやらってのがって・・・ん?」
「そういえば、いたな自称神とやらが・・・」

悟浄と八戒と悟空が三竦み状態、困り果てた三蔵は、銃口を李影に向けた

「おい、そこのうすら寒いの!責任取れ」
「は、ボクがですか??」
「もともとは、お前のせいだろ」
「早く偽神、このクソみたいな状況をなんとかしろ!」
「そんな事いうと、貴方をボクの城に連れて行っちゃいますよ~!」
「冗談じゃねぇ!それ、以外でだ」
「いや、素晴らしい考えですよ~、うん、ちょうどいい!」
「うちの市で早春の降神祭やってまして、樱花市から一人娘さんを花嫁として迎えなきゃいけなかったのです」
「なっ、厭な予感がする・・・」
「だけど、ボクって賢いうえに超美形でしょ?それに釣り合う美人なんて・・・なかなか」
「そこへ、貴方です、真珠を散りばめた真っ白な花嫁衣裳きっとお似合いですよ」
「ふざけるな!オレは、男だ!だれが嫁になんか・・・」
「昔から、好きでした。力づくでも幸せにしてあげますよ!」

ジャリッ、李影が微笑みながら近付いてくる

「なにげに、プロポーズしてんじゃねーよ!全部、却下だ!!」


    ガァウーン!ガァウーン!


銃で威嚇してみた、体の中を弾丸がすんなり取り抜ける
どういう仕組みなのか奴の体は傷ひとつ負っていなかった

「おい、三蔵!もしかして、そっちもピンチだったりする??」

異変に気付いた悟浄が悟空を押しのけ駆けつけようとする

「悟浄、まだ決着ついてね~!」
「そうですよ、このさい誰が一番ふさわしいかはっきりさせましょう!」

と、八戒も勝負をしかけてくる

「お前ら、オレを助ける気はあんのか!?」
「取りあえず、後で!!」
「負けないで、さんぞ~っ!」
「ちっ、使えね~!」


仲間に気を取られていたら、後ろからぎゅっと李影に抱きしめられた

「つかまえた~!っと、今度は君が鬼の番ね」
と頬を寄せ耳元で囁く、李影の懐に経文が入っているのを目線の端に捉えた
経文が近くにあるので取り返そうともがく三蔵

「はいはい、これが欲しいのね~」
「くそっ、返せ!」
「魔天経文か・・・そうだ、神隠し、この経文使ってやってみましょうか?」
「―!!―」
「どうなっちやうのか実験実験!」
「ボクはね~、神様にまでなった男だからね~今さ~っ、な~んでも出来ちゃうの!」
「なんでもありの強さなんだよ~びっくりするよ~くくくっ!!」
「よせ!危険だからやめろ!!」
「唵嘛呢叭溟吽(おんまにはつめいうん)」

(なっ・・・こいつが、マジで神とやらになったっていうのなら・・・)
(冗談じゃねぇぞ!!)

「てめ~ら、逃げろおおおお~っっ!!!」

三蔵が、大声で叫んだ

「魔界・・・天・上~!!!」


パーッと閃光が幾重にも走り、ここにいる全ての人間と妖怪の真上に
眼が眩むような白い世界が広がった、妖怪が原子レベルで分解し空気中に塵となって消えていく
しばらくすると閃光が収縮し光の球へと変化して、李影と三蔵の影を含んだまま夜空へと舞い上がっていく
ぐんぐん上昇し、一瞬ぴたりと静止したかと思ったら、遥か先にある山頂の城へ飛んで行ってしまった
残された三人は光を、しばらく追っていたが息を切らし立ち止まる

「はーっはーっ・・・ちくしょう!やられた~!!!」
「三蔵、まんまとあの男に持ってかれましたね」
「あのさ、あいつ降神祭の花嫁がどうとか云ってなかったか?」
「ほんとかよ!それ・・・三蔵、貞操の危機じゃん」
「こうしちゃいられない!早く助けに行かなきゃ~!!!」



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