「はぁはぁ・・・」

 ジャリッ 男がゆっくりと近づいて来る。

「くっ、来るな!」石壁を背にした事で、逃げ道を絶たれた三蔵
「こうりゅ〜くぅぅんんん!!!逢いたかったよ〜っ!」
「死ぬほど逢いたかったのに〜っ!!なんでボクから逃げるんだい!!!」
「あの時もそうだった・・・酷いじゃないか!酷いじゃないか!!酷いじゃないかぁぁぁっ!!!」

 男は、そう云うと両手を拡げ三蔵を抱きしめようと更に距離を縮めて来る

「李影、てめぇ・・・これ以上オレに近づいてみろ脳天ぶち抜いてやる!」

と銃口を向けるが李影はものともせず

「いいねぇ、その目素敵だよ!ぞくぞくしちゃうよ江流君!!」
「完璧だよ!100%のこうりゅ〜うくんだぁ!!」
「あぁもう色っぽいな〜、ボク勃起しちゃいそう!!」
「竿の先ちょっと濡れてきちゃった、そのかわいい唇で僕の、ぺろぺろ舐めてよ江流君!!」

 熱っぽい吐息が耳元に吹きかけられ、三蔵は悍ましさに鳥肌がたってきた。

「まったく、相変わらずのド変態だな・・・」
「オレは、変態と虫けらが大嫌いなんだよ、こっち来んな!!」

と銃の引き金に指を掛けた矢先に、李影にその腕をつかまれた

「はぁ〜ん、わかった隠れ鬼ですね?昔も、よく遊びましたよね」
「ボクが鬼で江流君が子」
「でも、こんな夕暮れ時は、この遊びをしては駄目なんですよ〜っ」
「どうしてだか、分かります?」
「それは、神隠しに遭ってしまうからなんです」
「ねぇ、消えた子供たちはどこに行ってしまったんでしょうね」

 そう云うと、顎を取り瞳を見つめてくる

「昔から綺麗な子だったけど・・・」
「くそっ、さわんな!」三蔵は、厭そうにその手を払いのけた。
「くくっ、その紫暗の瞳といい今はもっと高く売れそうじゃありませんか」

李影は、にっこりと黒い微笑みを浮かべながら、今度は、ゆっくりと優しく撫でる様に
三蔵のチャクラを頂く額に触れた

「・・・オレは、ずっとあの時まで、お前の事を親友だと勘違いしていた、本物の愚か者だ」
傷ついた表情で、三蔵がそう呟く

「おや、何故勘違いと?ボクらは充分親友ですよ」
「だって貴方だけは、誰にも引き渡さなかったじゃありませんか!」
「ねぇ、江流君」

と云い終えると、その身を引き寄せ深い口づけを仕掛けてきた

「うっ・んぐっ・・!?」

押し込んできた舌に噛み付く三蔵、李影の開いた唇から血が少し零れた

「三蔵から離れろーっ!!!」

悟空の声が大きく響き、後方から如意棒での一撃が入る、
李影が、その攻撃をヒョイヒョイと躱している隙に、悟浄が三蔵を奪い返した

 三蔵の顔を覗くと、頬が真っ赤に染まり呼吸も荒く、膝がガクガクと震え、
そのままズルズルと地面に座り込んでしまう、どうやら無理が祟って熱が上がってきたようだ

「おい、こりゃまずいぜ八戒!」

 やっと追いつき、上から覗き込む八戒に悟浄が話しかける

「こいつ、頼めるかな?」
「わかりました。ボクの気孔でどこまで回復できるか分かりませんが・・・」
「何もしないよりは、マシですかね・・・」

 腕の中に三蔵を委ねられた八戒は、さっそく気を送り始める
悟浄が、三蔵を庇う様に李影の前に立ちはだかる
李影は、小首を傾げて悟浄をしばらく眺めていたが、やがてうんざりといった体でこう云い放った

「おや、邪魔が入っちゃいましたね〜、でももう遅いですよ」
「彼はボクのだってマーキングしちゃいましたもん」
「ふざけんな!三蔵はお前なんかにゃ渡さねーよ!!」

悟浄が、すぐ様云い返した、李影はムッとして

「気に入らないな〜っ、赤毛の君は〜っ」
「貴方、三蔵の何なんですか?」

 真剣な眼差しが、何だか痛くて本気で答える必要は無いハズなのに思わず真面目に考え込む悟浄。

( びっくりした、しかもいきなりだし・・・)
(そういえばオレって、三蔵からすると、どの位置に位置付けられるのだろう?)

「うぅ〜ん・・・」

待つこと10分、悟浄はぐるぐる悩んだあげくに、やっと出た答えを恐るおそる云ってみる

「お・・・おともだち?」

半笑いの、微笑み付きだった。それに、イラッと来てしまった李影

「遅い!!多寡だか友人であると伝えるのに、どれだけ時間掛かかってるのさ」
「もう、それ絶対嘘だね〜!騙されないからね〜っ!!」
「あんたと、江流は愛し合う恋人同士」
「本当はデキてるんだ、ちくしょう許せな〜い!!」

嫉妬の怒りを露わにして捲くし立てる李影と、とんでもない展開に焦りだす悟浄

「はぁ?オレと三蔵がデキていて、しかも恋人認定ってお前気は確かか!?」
「いくら美人でも、あいつは男なんだよ、どうしょうもない無一物が腰からぶら下がってんだよ!!」

八戒に抱かれて眼を閉じている三蔵を、指さしながらこう答えた
すると、また憤慨して李影が云い返す

「なっ、やっぱりだ!彼のお宝見たんですね・・・ほら、そうじゃないですか!!」
「こら!今のは軽いジョークだろうがよ!」
「受け流す所だろうがよ!」



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