[あぁ、うぜぇ・・・]
厳しい天候の為に(吹雪)予定外の足止めを喰らう三蔵一行。
仕方なしにルートを変えて、近くの町に一泊する事になる。
だが、そこは有名な歓楽街で(ラスベガス?)絶対ハメを外すと見越していた三蔵は、
ワクワクで目がキラキラになりだした悟浄と悟空に外出禁止令を出した。
でも、二人ともそんな事などきくはずもなく、寒さで体調を崩していた三蔵の着物の袂から
ゴールドカードを抜き取って、悟浄と悟空はこっそり抜け出していった。
「チッ、あのクソどもが!」
と、悪態を付きつつもヨロケながら、まぁ大丈夫だろうと考えなおし
自室に引き籠もろうとした最中に、ある集団とすれ違う。
その集団の中にいた男が、三蔵の昔の名前を呼んだ。
「おや、これは江流君ではありませんか!」
「ずいぶんと大きく美しくなったじゃないですか・・・」
「げっ!お前なんで‼」
その場にいた八戒が、固まってしまった三蔵を見て不信に思い声をかける。
「どうしました、三蔵?」
「・・・っ、」
三蔵は絶句し、次の瞬間血相変えて宿を逃げるように飛び出していった。
それを追いかける男。何がなんだかわからない八戒。
「・・・えっ?」
「えっ?えっ?ええっ!?」
「何なのでしょうか、この展開は・・・」
「あの、いっにない三蔵の反応」
「これは何かある・・。何かありますねあの2人」
「ふっふっふっ、おもしろい!!」
「もしかしたら一生、三蔵をおもちゃに出来るチャンスかも知れませんしね」
「三蔵、待って下さ~い!貴方に何があったというのですか~っ??」
悟浄が楽しくお姉ちゃん達と街を歩いてると、全速力で三蔵が走ってくる。
(うわ~っ、カード盗ったのバレた!!)と蹲っていると、
「どけ~っ!!」と云いながら三蔵がそのまま駆け抜けて行ってしまった。
その後ろを、「江流君、待って下さ~ぃ!」と云いながら知らない男が必死に追い掛けて行き
そのまた後ろを、男のツレなのかガラの悪い集団がドドーッと「待て~!」と口々に叫びながらも
付いて行き、そのまたまた後ろを「お待ちなさ~い!」と云いながら八戒が走って行った。
唖然とした悟浄、どうしても三蔵の状況がおかしいのが気になってしまい、
かわいこちゃん達と泣く泣く別れて、自分も走者の輪に入る。
「お前たち、一体何で三蔵追っかけてんだよ~!!」
とそこを買い食いしながら今月の三蔵からもらったこづかいを全て食べ物に
使い切ってしまった事を、めちゃくちゃ後悔しながら歩いていた悟空。
「お前ももう、いい大人なんだから・・いい加減、自己管理を覚えろ!心も体もだ!!」
文具屋で、小遣い帳を三蔵が買ってくれ、こう怒鳴られたばかりだった。
そこをものすごい形相で叫びながら走って来る三蔵
「うわ~っ、何でバレたの?」
「クソ猿~っ、どけどけどけ~っ!!!」
「ひ~っ!ごめんなさ~い!!」
ブルブル振るえて頭をかばう様に座り込んでいたら、
三蔵は、悟空の目の前をそのまま走り過ぎて、行ってしまった。
「えっ、何で?」
「オレじゃないの?」
「何で、三蔵追っかけられてんの?」
「こんなん変じゃん!」
「ちょっと待ってよ、なぁ!」と悟空も走者の輪に入る
とうとう三蔵は、袋小路に追い詰められていた。